やこの備忘録

感想になりきれないオタクの備忘録です。

『ペット 檻の中の乙女』を観ました。

ペット 檻の中の乙女を観ました。これ軽くネタバレ概要見ちゃって、ウォッチリストいれといたんですよ。結果としてネタバレ概要が霞むくらいのものが見れました。

 

まず超注意なのが、犬が可哀想な目に遭います。あとは結構グロい。血が出るし、切断系もあるから私はところどころ目を覆いました。(私はグロ耐性あまりないほう)

 

とりあえず概要としては、惚れた女に見向きもされなかった冴えない男がその女を監禁してしまう。って話です。

冴えない男がそんなことできんのか!?ってのには多少の無理があったりもしますが、環境がそれなりに整っちゃってるので……。

 

こっから後半に行くにつれてネタバレです。

 

 

まず男は動物保護センターで働いていて、偶然見かけた地下室に監禁用の檻をこさえて、センターにある薬物で女を誘拐。頼まれた荷物だと言って段ボールに入れた女を搬入。監禁生活スタートって感じです。

女は憔悴し、同居していた女友達の幻覚まで見出す始末。男はことあるごとに「君を救いたい」とかわけわからんこと言うしコワキモ……って感じなんですよ。自分を拒む女に「どっちが本当の君なのか確かめる」とか言いながら、別に性的にも暴力的にも手を出したりせず、救う救う言っててマジでヤバい男だと思って見てました。女は自分のノートに小説を書いていて、それを読んで女のことを理解したつもりになってるんですね……女にもそれを指摘されてました。

ノートは日記のようなものだ。だからこっちが本当の君が本当だ……とか言ってて、ああ〜理想の押し付け……って思ってたんですけど。

そのノートは(たぶん)本当に日記で、その女が犯した殺人の記録が残っていたんですよ。

男は監禁前にある程度のストーカー生活をしていたのでノートが真実だと知っている。そして、おそらく女が殺人を犯す現場も見ている。

女には殺人癖があって、男はその悪癖から女を救いたかった。あー、男がずっと「救う」って言ってのはここなのか……いや、殺人癖を持った人間がピンポイントで監禁されることある!?ある。 しかし女を助けられるっていうこの男の思い上がりってどっからきてんだろう。

で、だんだん日々を過ごし会話を交わすうちに女が精神的優位に立っていく。精神的なイニシアチブを握ってくるんですよね。男はなんとか誤魔化されないように頑張るんですけど(いや、コイツも大概だし犯罪者なんだけど)そんなことしてたら男がちょっと席を外しているあいだに偶然地下室に迷い込んだ男の同僚が監禁された女を見つけるんですよ。あー、これで女は助かって一見よかったけど街には殺人犯が解き放たれてしまうやつねー……こわや……って思ってたら、女は警察を呼ぼうとする同僚に警察に行く前にこの鎖を壊してくれって言うんですよ。その尋常じゃない迫力に、女に従ってしまう同僚。帰ってくる男。男に目配せする女。

女は男に視線で指示を出してるんです。「この男を殺せ、」って。

女は取り乱したふりをしながら喩え話を交えて「私を思うならこの男を殺して見せろ」と男に訴える。男は葛藤したが、同僚を殺してしまう。(女も同僚に足引っ掛けたりしてアシストしてる。最悪の共同作業)

同僚を殺して動揺している男に『死体の始末の仕方』をレクチャーして、地下室で死体を始末させる女。(ここグロかったです)もう完全にイニシアチブが女にある……で、死体の始末は終わるけど警察は当然話を聞きにくるし……そんな心労のなかで、男は女に言われるんですよ。「本当に私を愛しているのなら、あなたの指を1本ちょうだい」って。なんだこの最悪の蓬莱の玉の枝。

で、男は……あげちゃうんですよね……指……。指をあげたのも束の間、それに使った刃物を持った女に自殺されたくなかったら檻を開けろと言われ、

男は鍵を開ける。痛みで苦しむ男に「あなたの愛を信じる(意訳)」と言った女はその刃物で男の喉を切りつけておしまい。愛が届いたけど死亡エンドだ……。

 

って思ったら、女は貸し倉庫に男を監禁し始めた、ってオチでした。構図的にも立場的にも完全に逆転した男と女。いや……男も大概だけど、男の行動に対して罰が重すぎ……いや男も大概なんですけど……。

女は男がしてくれたように食べ物を持っていく。で、その日に女は同居人を殺しそうになったんですが「あなたの愛を思い出して踏みとどまれた(意訳)」的なことを男に言うんですよね。男の献身……届いてよかったね……?

 

終わってる男と気の強い女かと思ってたら、やべー男とやべー女のマッチングでした。男の挙動がかなりあれですが(一方的に自分の思う通りにことが進むと思っている異性からのアプローチに嫌気がさした経験がある人間はかなりメンタルをやられるかもしれない)ヤバい人間なりの愛の哲学が披露されていて私は嫌いじゃなかったです。必要以上に性的なアプローチがなかった(多少はある)のも好きでした。でも犬は可哀想だしネズミは血まみれで死ぬ。

 

勧めるには人を選ぶなぁ。概念がハマれば面白いかも。私はイニシアチブが逆転する被害者と加害者は好きだし、殺人癖を持った人間が披露する嘘か本当かわからない恋愛観も好きでした。でもグロい!痛そう!

支配下に置いたはずの女に徐々にイニシアチブを握られる男が見たい人におすすめです!

 

 

女が「こんなの間違っている」と葛藤する男に「私への愛以外に正解はないの」って言うシーンが好きでした。

あと女は自分が殺した女友達と同居する幻覚を見ていたっぽいんですけど、最後に殺しそうになったけど踏みとどまった同居人は生身の人間だよな……?ってちょっと思いました。